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2015/08/13 09:36
「桶仕込濃口 純」と「天然醸造こいくち醤油」
この二つの醤油は「こいくちしょうゆ(本醸造)」です。
原材料や仕込みは同じで、風味もほとんど同じです。
「桶仕込濃口 純」は二年間の醸造期間での制約しており、目指す仕上がりは若干異なっています。
醤油は一年で作るもので、醤油の技術について書かれた本でも二年目以降は書かれません。
二年目以降は、香り成分の飛散による低下や、うま味成分の分解による味の低下、色の黒色化といった科学的な根拠に基づくデメリットがあります。
一年以上の長期熟成を肯定する根拠は「味のまとまり」ということです。塩味、うま味、酸味、甘味といったそれぞれの味の構成要素がそれぞれの味を主張するのが一年までの醤油です。一年から二年間のものはそれぞれの味の主張が弱まって、それが「味のまとまり」のよいものに仕上がってきます。二年から三年間のものは更に円い風味に仕上がっていきます。
更に時間が経過すると、うま味の減少、芳醇な香りの減少、色の黒色化が目立つようになり、料理で使いにくい醤油になります。
販売されている醤油は公正競争規約で文言が規制されており、二年以上とか、二から三年といった曖昧な表現が禁止されています。どちらも二年もしくは二年間と表示しなければなりません。
公正競争規約の関係で、「桶仕込濃口 純」は24ヶ月間醗酵、熟成させたと表示していますが、熟成期間はもう少し長目で、味のまとまりのよい、円い醤油を目指しています。
「天然醸造こいくち醤油」は、円形よりももう少し味の輪郭がはっきりした風味を目指しています。こちらは熟成期間にはとらわれず製造しています。
※現在の流通している醤油の大部分は六ヶ月間で作られるものです。戦後の大手メーカーの技術向上には目覚ましいものがあり、短い醸造期間でも上質な風味の醤油が販売されるようになっています。
※弊社の醤油の味に関する考えであり、他の醤油会社の製品についてはそれぞれ違いがあります。